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キャットフードを変える時の注意点

環境の変化を嫌う猫にとって、フードをあれこれ変えることはなるべく避けたいものですが、病気になったり、老猫になって食が細くなったりした場合、やむを得ずフードを切り替える場合があります。
その際、私たちはどのようなことに注意したら良いでしょう? 猫に優しいフードシフトの方法を考えます。

個体差があるので一概には言えませんが、食べ慣れたフードをいきなり他のものにシフトすると拒絶反応を示す猫もかなりいます。
一番わかりやすいのは一切口を付けず、においを嗅いで止めてしまう場合ですが、中には平気で食べたからといって安心していると、さっき食べたばかりのフードを部屋の隅で嘔吐してしまうこともあるようです。
いずれにせよ、これは食生活の突然の変化に、猫がショックを受けていると考える必要があります。
では、猫にフードが食べ慣れたものと変わってしまったことを伝える情報源は何でしょう? 
最も大きなものは『におい』です。
味覚より嗅覚によって食欲を感じる猫にとって、フードのにおいの変化は混乱を引き起こします。
保守的で用心深い猫にとって、初めて嗅ぐフードのにおいは、それが果たして口にして安全なものなのかどうかという不安を抱かせる原因となるのです。

ですから、フードを新しいものにシフトする際は、新しいフードのにおいが従来のフードのにおいに紛れてしまうくらいの分量を、時間をかけて徐々に増やしていくといった工夫が必要です。
この方法を取れば、単なる新しいフードへの警戒心からくる食欲不振だけでなく、万一アレルギー等のトラブルが起こった時のダメージを軽減することができます。

しかし中にはこうした方法を取ったにも関わらず、従来のフードに混ざった新しいフードを神経質により分けて残している場合もあります。
そういった場合は、無理にシフトせず、他の銘柄を試すといった柔軟な対応が必要です。
人間同様、猫にも個性があり、持って生まれた嗜好というものもあるからです。
そして嗜好は年齢によって変わることもあります。
またアレルゲンを始め、自身の身体に良くない影響を引き起こす成分を、本能的に避けている可能性もあります。

ですから、飼い主はキャットフードのシフトには最新の注意を払い、シフト後しばらくは猫の健康状態(体重、毛艶、口臭、便、嘔吐、目脂など)に注意を払って観察する必要があります。
もっとも望ましいのは獣医師のアドバイスを仰ぐことですが、飼い主自身の判断でフードシフトを行う際は、シフトの候補をいくつか決め、なるべくその全てのサンプル(小袋に入った試供品)をショップでもらってきてチェックする方法が安心でしょう。

私たちは猫が環境の変化を嫌う生き物だということ、人間同様に嗜好があるということを頭に置き、彼らにショックや不安を極力与えないフードシフトを行う必要があります。
と言ってそれは特別に難しいことではありません。愛猫を見まもる眼と慈しむ心さえあれば誰にでもできるのです。